高麗川清流

高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会

埼玉県県土整備部水辺再生課 埼玉県飯能県土整備事務所への要望書

埼玉県県土整備部水辺再生課様
埼玉県飯能県土整備事務所様

2015(平成27)年12月3日 
高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会 
代表 横山秀男

提言「コンクリート遊歩道を必要としない川の再生」

 以下に、知事宛の要望書の3番目に掲げた「コンクリート遊歩道を必要としない川の再生」の具体的ポイントの提言を示します。

 知事への要望の中で書きましたが、大方の日高市民は、高麗川をいじらずにそのままにしておいてほしい、手を加えるなら最小限に、としています。人里の森閑とした静寂と流れの音そして川辺を飛び交うカワセミという高麗川の姿は、市民に定着しています。日高市には15の高麗川に掛かる橋がありますが、コンクリート遊歩道を設置する工事区間の橋の上に立てばそれは実感できるはずです。
 このような高麗川にコンクリート遊歩道は必要なく、ましてや、コンクリート遊歩道で坂戸市まで市民や観光客を誘導する――この県の基本的考えによる事業は決して望まれていない、ことを確信しての試案です。

1.日高市当初案 + 橋を中心とする親水空間の創出
 県による川の公開選定会での日高市当初案で示されていた既存散策ルート活用案に、橋を中心とする親水空間の創出を組み合わせることによって、事業目的が達成できると見込まれる。

2.橋からの景観増大のために
 蛇行が上下流にある高麗川の橋からの景観は、山里の中の環境と相俟って、高く評価される高麗川に特有の価値である。これを一層増大させること。そのためには、橋の改修の検討が必用である。景観にふさわしい形態、耐用年数の評価、及び車と人の同時通行が不可能な狭い橋は地元の生活利便と歩行者の安全面から問題――等々さまざまな課題がある。

3.橋の周辺整備としてのトイレ設置
 トイレの問題が最大の課題。この問題の完全解決無くして施策目的の達成はあり得ない。プロジェクトでは、1箇所のみトイレ改修が計画されているが、全く不十分である。各地域の意見を踏まえて増加設置すべきである。

4.橋の周辺整備と橋から河原へのアプローチ
 現状では、橋に接する道路は、車の待機場所や路肩である。 橋から河原に降りる場所も未整備である。橋の両端と川へのアプローチとしての階段、スロープ等、形状と景観に配慮し、安全な降り口を設置する。

5.踏み跡道の活用によるフットパスの推進
 橋と橋の間を含む流域の河川敷や河岸に踏み跡道があるので、これを活用してフットパスとする。これこそ高麗川にふさわしい最低コストで最大効果をもたらす手法であることは多くの人が指摘している。イギリスで普及している「歩くことを楽しむ」公共の散歩道として、まるごと再生の目玉になり得る。川の自然に接したいという市民の希望も適えられる手法である。

6.親水景観の改善のための自然護岸の整備
 自然護岸が続く間を流れる川の景観が日高市高麗川の特徴だが、手が入らないことによる荒廃が目立つ。川筋の変化による自然護岸の侵食、竹等の進出による景観や流れの阻害が各所にある。護岸整備と植生制御によって、景観改善と浸食防止が見込まれ、親水空間創出に確実に貢献する。

7.川にまつわる文化的遺産の尊重
 川は地域のコミュニケーションの大きな部分であったことを踏まえると、川筋には人々の生活の記憶が残る場所や歴史的場所等が多い。これらについて川にまつわる文化的遺産としての対処が必要である。

8.河川工事のあり方を視野に
 河道掘削等の人為インパクトによる河川生態への影響や河川の管理対策は、河川工事において考慮が必要とされる問題になっている。プロジェクト事業においてはこの視点がないので、工事を行う場合は、必要性に応じて、生物調査の実施や伝統的・自然的工法の選択等、市民の意見を取り入れて行うべきである。

9.川の持続的維持のための協力体制づくり
 8つの提言を実現させ、その効果を持続的に維持していくためには市民と行政の協働が欠かせない。計画段階からの参加と発信が必用で、川のメンテナンスに移行できる制度と仕組みをつくるべきである。
 
 以上、私たちのコンクリート遊歩道によらない高麗川のまるごと再生案を示してきました。もとより、これらの問題は、要望の2で示した地域住民、市民との議論と検討を経て決まるべきものであるので、改めて要望を実現させ、合意の下の事業となることを願って止みません。

以上