高麗川清流

高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会

清流文化都市にふさわしい遊歩道を

谷ケ崎房之助

 この度日高市の広報ひだかで初めて、「高麗川のまるごと再生プロジェクト」事業による高麗川河川敷へのコンクリート遊歩道工事の内容が公表されました。そして我々「高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会」、「リンクス高麗川」、「保育の会」などが疑問や再考案を出しているにも関わらず、年明けからの工事着工を表明しています。
 川の再生事業については8年も前から進められ、コンクリート遊歩道事業は3年も前に市部会で決定していながら、初めて市民に公表し、業者もすでに選定しており、すぐさま着工という進め方は、情報公開、説明責任が強調される時代にあって、驚きの一語です。そのような進め方はまさに計画内容にも反映していると思われます。

 第一に「高麗川のまるごと再生」という計画の大きな目的からすると、昔の高麗川のようにヤマセミ、カワセミ、魚やドジョウ、トンボやホタルなどの生き物がにぎわい、それを支える清流を再生する計画と期待します。
 高麗川は写真家・島田忠氏が、カワセミの写真で全国的に有名にしてくれた美しい清流です。私も32年前、日高に移住して、野鳥の会の息子と巾着田の崖でヤマセミを見ました。感動しました。残念ながらヤマセミは、今はお目にかかれません。
 それでもグラウンドワーク三島の川の専門家3人による学習会によると、高麗川は今でも豊かな自然が残っている貴重な川と評価されています。またこの1月31日、NHKの「さわやか自然百景」という番組で高麗川が選ばれ、紹介される予定です。このような貴重な高麗川に手を入れる場合、慎重でなければなりません。
 ところが計画は重機を川に入れ、水を切り、川を掘り、2メートル幅のコンクリート遊歩道を造るという計画です。それも河川敷の中にです。このドライ化工法による工事そのものによる環境破壊は大きいし、河川敷に構築されるコンクリート遊歩道は、美しい高麗川の景観を壊し、生き物の多様性を壊すことになります。期待した目的とは、真逆です。それに「水質を再生」することが全く考えられていません。むしろ目的からすれば水質の向上が最も重要視されるべきかもしれません。
 最近の水質調査によると大腸菌が増加しているとのことです。高麗川へ流れこむ沢山の支流の水質や、家庭からの下水の管理が大事かと思います。まるごと再生ですから、下水道完備、合併浄化槽の充実、川沿いのトイレの充実なども考慮されるべきかと思います。

 第二に、日高市は「ふれあい清流文化都市」を市民憲章として、総合計画基本構想で「水と緑の豊かな自然環境の保全」「貴重な歴史資源、景観の保全」を掲げています。河川敷内のコンクリート遊歩道は、まったく逆でないでしょうか。水と緑の豊かな自然環境を壊し、景観を損ねる計画です。市が観光の振興を考えるのも一つの重要な役割です。しかし「ふれあい清流文化都市としての観光事業」でなければ、市民憲章は死んでしまいます。遊歩道を造るにしてもこの市民憲章を貫いた遊歩道を創造することが、日高市の誇りになるはずです。それは一つの文化の創造ですから、知恵を出し合い、辛抱強くまとめて時間のかかる作業かと思います。
 今までリンクス高麗川の方々が、何回も調査をして貴重な情報を提供してくれています。また先ほど述べたグラウンドワーク三島の先生方が遊歩道についていろいろなアドバイスしてくれています。また埼玉河川連合の方々の経験談などをいただいております。それらの知見・情報を考慮して、高麗川らしい「コンクリート遊歩道を必用としない川の再生」案を、我々「高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会」が提案しています。それが知事に提出した要望書の中の具体案です。
 最後に日高市が清流文化都市として、全国に誇れる先駆的な遊歩道を創造するために、コンクリート遊歩道の着工を延期し、多くの市民の意見を結集することを願うものです。