高麗川清流

高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会

整備で壊れる景観、入間川も――入間川散策人からの投稿

 入間川の河川敷、中州の景観を愛する狭山市の散策人からの投稿がありました。
 入間川もここ数年、川辺の整備が進められていて、自然の景観が壊れていくことを嘆く内容です。
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 入間川もここ2年ほど?コンクリート歩道等の沿岸の整備が進められています。同じ計画の一環でしょうか?
 緑に茂った中州はごっそり削られ、水の流れも大きく変わりました。道ばたの草を眺めながら歩いた砂利道は黄色い歩道に生まれ変わり(しかもなぜ黄色に?)
下流の川のようになってきました。
 以前はよく散歩に出かけた川沿いですが、私はすっかり足が遠のきました。
 整備することによってはたして人が川辺に集まるようになるのでしょうか。ある人はやって来るかもしれませんが、私のような人は来なくなるでしょう。動植物も減ることでしょう。
 自然の景観が壊れていくことを残念に思います。
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狭山市でも川のまるごと再生プロジェクトは、平成24年以来実施されています。川のまるごと再生プロジェクトは、1つの川の流域市町村を関連づけるやり方で行われています。その連携させるやり方――日高市であれば巾着田から坂戸市までコンクリート遊歩道をつなげ(実際はつながらない細切れ)、川筋に賑わいを作り出すこと、ということです。
 「まるごと」の意味は、ピンポイントではなく必ず複数自治体にわたる線の事業として計画されていることです。
 狭山市の場合も、入間川流域の川越市との連携事業となっています。プロジェクト事業を事前に審査する県の川の再生懇談会の資料(下図:真ん中に黄色い歩道が)を見ると、大きな事業目的が2つあります。
 1つは、河川敷の河川公園を結ぶ広域遊歩道をつくること、2つ目は、魚道を設置すること。魚道については、水利権の問題や既設堰の構造等、市民には容易に見えない大きな問題が山積しているのですが、アユなどの魚類の移動のためには必用なことです。

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 問題は、投稿者も指摘する広域遊歩道の必要性です。「まちなかと川、公園とをつなげ活性化をはかる」という名目・目的が、いかにムダな事業をつくり出す役人発想(政治家の利権発想もあり得る)かということで、日高市のコンクリート遊歩道建設の無理筋と一致します。
 都市計画上の市街化区域は当然のこと、市街化調整区域も、土地の私有制のもとでは常に開発にさらされています。法律の網の目があっても、ある日、突然、何らかの建設構造物の出現や景観変化が起こりうる。しかし、河川敷は国家管理(一部は都道府県)の最たるもので私権の容易に及ばない区域で国民の財産です。都市生活を営む現代人にとって、私権の及ばない河川敷には“無用の用”があるのではないでしょうか。
 治水のための堤防で仕切られた河川敷は人間の生活を守る偉大な公共空間です。形態的には、ただの野っ原、中州、氾濫原等で、利用・効用からすると“役に立っていない”空間と見られがちですが、それは浅はかな考えだと思います。景観や自然を楽しむことはもちろん、自然の脅威・驚異や自然の倫理・権利等、私たちに、いろいろな価値を考えさせる空間です。
 そこに、まちなかの賑わいを呼び込むことなど必要無い、あの広い空の下での自然を楽しめる、感じるための場所であって欲しい。投稿者のご意見は、こういうところにつながるのではないかと思います。
 知事や市町村長の選挙での公約が、政治家や官僚が介在することで一人歩きしていきます。「川のまるごと再生」にみるような机上の空論が実際に事業化されてしまうことに恐ろしさがあります。