高麗川清流

高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会

自然に在るべき高麗川へ――中3年の私は願う、宝をそのまま残してほしい!

 私は現在、中学3年生です。高麗の自然に囲まれて育ち、自然の中で成長してきました。その影響もあり、自然と深い関係にある『生物』に興味を持ち、将来は生物学者を志しています。そんな私は、多様な生物が生息しているこの高麗川が大好きです。『自然に在るべき姿』が保たれ、豊かな生態系が形成されています。
 しかし、現在進められているコンクリートの遊歩道工事は、今まで保たれ続けてきた『自然に在るべき姿』を壊してしまう可能性が大いに考えられます。すなわち、豊かな生態系が崩れてしまう恐れも大いに考えられるのです。実際に、川をコンクリートで整備したところ、動植物の住処が消失したり、川の流れが止まってしまって、多くの生物が死滅してしまったりした事例もあります。高麗川に遊歩道を造った場合、完成直後には多くの観光客が集まったとしても、動植物への悪影響が目に見える形になる頃には、観光客は増えるどころか、減ってしまうでしょう。つまり、コンクリートの遊歩道工事は、高麗の豊かな自然を失ってしまう上、利益もあまり期待できません。遊歩道工事を実行しても、成果はあまり得られないと考えられます。
 また、コンクリートの遊歩道を造るには、経済的に負担がかかります。コンクリートの遊歩道を撤去するにも、経済的に大きな負担となります。そして何より、一度崩してしまった生態系を復活させるのは、とても大変です。約40億年をかけて形成された生態系は、私達人間の手で簡単に直せるものではありません。そのため、現在進んでいる工事も、今すぐに中止すべきではないでしょうか。利益も期待できず、美しい自然も失ってしまう恐れがあるならば、工事を行う必要性は無いのではないでしょうか。
 私に夢を与えてくれた高麗川は、ずっと今のままであってほしいと思っています。私の他にも、思い出の高麗川をそのまま残してほしいと言う人はたくさんいます。そんな私達の『宝物』をそのままの形で残していくために、そして、美しく、自然豊かな高麗川を守っていくために、高麗川工事を中止してほしいと願っています。                日高市在住  中 三生

コンクリート遊歩道工事の1ヶ月――悔やんでも取り返しのつかない自然への酷い衝撃

日高市在住 K生
f:id:komagawaseiryu:20160222221131j:plainこれほどの自然破壊を想定しましたか? “たかが”遊歩道の為に!
これでも「日高の自然を大切にしたいという気持ち」なのですか?

本年1月の正月明けから工事のはじまったコンクリート遊歩道工事。この工事の実施案を最終的に決めたのは、昨年暮れの12月11日の「第8回日高市部会」でした。

この会議で、市部会のリーダー(主宰者)とされる日高市市民生活部・町田部長は、「コンクリート遊歩道」決定に際して次のように述べました。「頂いた要望の中で、受け入れられるものと受け入れられないものがある。これを整理すると、日高の自然を大切にしたいという気持ちは同じ。これは受け入れられる。環境配慮や景観についても同じである」と。

しかしながら、コンクリート舗装の遊歩道を建設するプロセスによって、この1ヶ月我々が指摘していた通り、悔やんでも取り返しのつかない自然環境へ酷い衝撃を与えています。

清流橋からお蔵淵方向を見る

1月16日
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1月31日
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2月14日
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お蔵淵から清流橋方向を見る

1月16日
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1月31日
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1月31日
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2月14日
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上の写真の左側の竹藪に沿って遊歩道が計画されている。そこで、下の写真の様に側溝を堀り水位を下げて乾燥させることが企図されている。しかしながら、この地域は扇状地をなして絶えず地下水が川に染み出て流れ込んでいる。この流れを止めずにコンクリート化が可能なのだろうか?
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お蔵淵

1月16日
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1月31日
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2月14日
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日高市高麗川随一美しい景観を誇った「お蔵淵」。現在はこのように土砂で埋められてしまった。

ケヤキ地域

1月16日
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1月31日
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2月14日
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カワセミなどの高麗川に集う野鳥のサンクチュアリ(聖域)とも称されるこの大ケヤキ地域の現在の状況を、一体どのように表現すればよいのでしょうか??

NHK「さわやか自然百景 埼玉 奥武蔵 高麗川」放送。そして偉大な地域資産の破壊とそれを許す者

 1月31日、予告されていた「さわやか自然百景」が放映されました。
 さすがNHKです。高麗川の自然の素晴らしさを、僅か15分という短い時間の中で余すところなく伝えました。多くの視聴者が、画面に吸い込まれ、棲息する生き物を愛おしく思ったのではないでしょうか。
 2015年10月から2016年1月まで取材撮影が行われたそうです。取材日記に「高麗川の豊かな自然が保たれ、守られているからこそ、彼らの暮らしも、ひいては私たちの暮らしも成り立ちます。高麗川が清流の名にふさわしく、いつまでも清らかな流れを保ち続けていることを願ってやみません」とありました。
 放映前に、高麗川の河川敷にコンクリート遊歩道が建設され、景観が大きく変わること、工事の影響が残るであろうことなど、意見として担当者に伝えました。私たちの情報以外にも、高麗川まるごと再生プロジェクトによる工事については、多分、耳にしているでしょう。伝わった情報による記者の思いが、引用した取材日記の末尾の文章にかすかに現れている、と言ったら言い過ぎでしょうか。
 ところで、県民、市民の税金を投入して、効果も意義も無いコンクリート遊歩道建設を推進する政治家はこれを見てどう感じただろうか。
 埼玉県知事は?
 日高市選出の県会議員は?
 市長は?
全国の地域調査を経て選ばれた地域の自慢になる生活・福祉資源、観光資源です。普通の感覚なら、トップ自ら紹介して良いはずですが。だから遊歩道を建設するんだ、という感覚なんでしょうか。住民の生活と福祉に関わる環境改変に対しては、リーダーは、市民の意見を聞きながら自らの政治倫理と行政感覚を磨くべきなのに相変わらずの君臨感覚・旧態依然です。
 見納めとなる景色を切り取った珠玉の画面をいくつか紹介します(NHK「さわやか自然百景」1月31日放映より)。
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http://www.nhk.or.jp/sawayaka/contents/program/2016/01/2016_0131_komagawa.html#a03

「高麗川のまるごと再生プロジェクト」事業に思う――検証・評価無きまま、住民無視と破壊は横手から下流域へと拡大

日高 流水 

川の再生事業、現在までの経緯

 埼玉県が県土に占める河川面積の割合において全国一(3.9%)であることなどに因んで、上田清司埼玉県知事が「川の再生」をスローガンにして事業を推進してきた。第1期目の事業である「水辺再生」100プラン」が平成20年度からスタート、これを継承する形で第2期目の事業である「川のまるごと再生プロジェクト」が平成24年度から開始され、現在、計画の最終年度となっている。
 日高市では、平成21年度の県の「水辺再生100プラン」事業において、市提案による巾着田周辺の河川の整備と、住民提案による(住民無視の形式的なものであったことは後で詳述)横手渓谷の川辺の遊歩道設置との二つの申請が採択され、それぞれ県の費用によって工事が完了したことは、周知のことである。
 そして現在、県の「川のまるごと再生プロジェクト」に自治体提案として日高市が「高麗川のまるごと再生プロジェクト」を申請し、これが採択され、高麗川河川敷にコンクリート遊歩道を建設する最終工事が着工されたところである。

突然の工事に驚愕、心ある市民が反対の声

 この「高麗川まるごと再生プロジェクト」とは、①天神橋~お蔵淵間、②高岡橋周辺、③獅子岩橋~新井橋間、④富士橋~高麗川橋、⑤高麗川橋~坂戸市境、に遊歩道を設置するという事業であり、その遊歩道は幅員2メートル、厚さ30センチのコンクリート造りのものである。
 そして、この事業の概要を一部の日高市民が知る事になったのは工事が着工される寸前の平成27年8月のことだった。これによって、心ある市民は驚愕の念をもって、この事業に対することとなり、特に「リンクス高麗川」「埼玉県河川環境団体連絡協議会」「高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会」「清流青空保育会 ぽのぽの」の市内外の四団体から、この事業に対する反対、再考、修正等の要望が提起されるところとなった。
 そこでいま、この四団体からの要望を見るに、それぞれの要望に共通しているとみられる点を集約すれば、おおよそ以下のようになるかと思われる。
(1) 市民置き去り計画で事業が進展してきたことに対する批判。
(2) コンクリート造りの遊歩道には反対であること。踏みあと程度の多自然工法の提案。
(3) 現状の自然環境としての高麗川の川辺に、人工的に遊歩道を設置して、その環境を変える必要があるのかの問題。
(4) コンクリート造りの遊歩道の造成は、高麗川の魚類やカワセミなどの鳥類の生息にとって、不適な環境を作ることになるのではないかの問題。
(5) 橋からの景観にマッチした整備、親水空間の改善のための自然護岸の整備に変更すべきであるとの提案。
これらの諸点は、今回の事業に対する日高市民一般の共通にいだく問題点であると思われる。
高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会」は平成27年12月3日、上田知事に「高麗川まるごと再生事業によるコンクリート遊歩道設置中止と計画再考の要望」を、飯能県土整備事務所に「提言「コンクリート遊歩道を必要としない川の再生」」を、そして谷ケ崎日高市長に「高麗川コンクリート遊歩道設置の中止と計画再考の要望」を提出している。
これらの要望の中で同会は、高麗川まるごと再生プロジェクトが市の総合計画に反する事業であり、計画自体が趣旨も効果設定も無きに等しく、県民・市民の税金のむだずかいであることを指摘、公共事業のあり方として根本的疑問を投げかけている。
 以上のような四団体からの要望が提起されたことや、その要望のそれぞれに対する件や市の返答が如何様であったのか、一般日高市民は知る術さえなく今日にいたっているのが実情である。

市部会を絶対視、民意吸収の努力を放棄

 では、一体いかなる事由により、このような状態に陥ってしまったのか、少々考えてみたい。ここでまず注目されるのが「高麗川まるごと再生プロジェクト」事業の内容の検討から決定にいたるまでの権限を委嘱されているという「高麗川まるごと再生プロジェクト日高市部会」の存在である。
この市部会は、第1回(平成25年5月)開催に先立ち、市が要綱を定めて設置されたものである(資料:市部会設置要綱参照)。
市部会のリーダー(主宰者)を日高市市民生活部長と定め、市内の地域住民代表としての関係区長等、地域活動団体および広域地域活動団体としての各団体の代表者、関連地域の学校関係者(小学校長)、県会議員(交通安全推進協議会顧問)、埼玉県および日高市の関係各課の担当者などで構成されている。そして「リーダーは、必要があると認めるときは、別表に掲げる構成員以外のものの出席を求めることが出来る」としている。
平成27年12月11日(金)開催の第8回日高市部会において、上記四団体からの要望も議案として審議対象とされたことを含めて、当プロジェクト案の検討を終了し、一部修正のうえ、コンクリート遊歩道を中心とする計画を原案通り決定として、平成28年1月に工事着工にいたったという状況である。
 市側の説明によれば、平成23年に高麗川全域を調査し、遊歩道設置可能個所を3年間かけて検討し、場所を選定したという。その後、平成25年に上記の「高麗川まるごと再生プロジェクト日高市部会」を設置し、以降の検討は、この部会に委せたということである。
そして、住民置き去りの批判に対しては、第8回日高市部会での市側の答弁として、「日高市部会では市民の意見を吸い上げてきた。地元代表である区長やボランテイア団体、各分野を専門とする行政機関の意見も聞いている。私は住民置き去りとは思っていない」(第8回日高市部会議事録、議事要旨3頁)と述べているように、明らかに住民置き去りを否定している。
 ところで、新堀、野々宮、北平沢、山根、川端などの区長がメンバーでなかった第2回市部会において、突如、整備テーマが変更となり、コンクリート遊歩道が提案された。
そして第3回において、魚道整備案と前回において突然、産業振興課から提案されたコンクリート遊歩道案が承認されてしまった。地元代表である区長の発言は参加の当初から極めて制約されていて、地元住民の要望を区長を通して実現することは、たいへん困難な状況であったことが推測される。
 また、前記の日高市部会における市側の答弁として、「通常、市民参加の手段として公募という方法もあるが、今回は市だけの事業ではないのでそうしなかった。今回はこの形式で進んできたので受け入れない(同上議事録、議事要旨4頁)とある。
ここで、「この形式」というのは、平成27年8月1日(土)2日(日)に開催された平沢公会堂と栗坪公会堂における地区説明会において、情報公開の遅れや未公開のままでの事業推進に対する地区住民の批判に対して、「市部会という手法」で進めてきたと繰り返し返答していること(同上議事録、資料2)に相当すると見られる。
ここには、日高市部会という手法や形式を絶対化し、日高市部会の存在ゆえに民意吸収の努力を放棄しながらその不当さに気づくことのない市側の姿勢と、県のプロジェクト事業の一環としての日高市事業ではあるが、申請主体の日高市の主体性の全く欠如した姿勢とが露呈している。
日高市部会そのものは、今回の事業の検討・推進のためには重要な機関であることは申すまでもないが、日高市においては、この機関が民意吸収を大きく阻害する存在に化してしまったと言わざるを得ない。まことに残念なことである。

3つの主要問題

 以上、「高麗川まるごと再生プロジェクト」事業に関する諸問題について、その大方の状況について述べたが、ここには、日高市の行政上の諸問題が露呈されているように思われる。
そこで、そのことも考慮しつつ、今回の事業が惹起した、主要と思われる問題三点について私見を述べてみたい。その三点とは以下の通りである。
(1) 今回の事業が民意無視のまま推進されたこと
(2) 当初からコンクリート造りの遊歩道として計画・推進されたこと
(3) 「高麗川の再生」という根本問題に対する論議の欠如の問題

横手遊歩道に反対多く、区は関与せずを決議

 第一点は、今回の事業の市民全体への情報公開が、すでに事業内容が決定、工事着工を目前にした時期であり、一般市民の意向の反映される余地の与えられなかったことである。市側の市民への情報開示の決定的な遅れに基づく問題であり。市側は「日高市部会」という手法で推進し、何ら瑕疵は無しと主張するが、結果的には民意無視の事業に陥ってしまったことである。
日高市における、こういう在り方については、先の横手渓谷の遊歩道造成時における区民への対応の仕方が想起される。県の「水辺再生100プラン」に日高市として横手渓谷に遊歩道を設置するという案が、地元区民に公表されたのは、県と市と関係有志とによる原案がすでに出来上がった段階で、この原案への区民の賛同を得るための説明会においてであった。しかし、横手区では反対論も多く、区としては関与せずと決議されたという。そこで、止むなく関係有志による県への申請となり、これが採択されたということで、地元区民の賛同を得た上での事業ではなかったという。そして、その結果の幅員2メートルのコンクリート造りの遊歩道の出現であったと聞く。ここには、地元住民の意向を無視してまでも事業を推し進める、ある力が強く働いている状況が看取されるが、今回の事業の推進の仕方も、こういうことと無縁であるとは思われない。

破壊の検証・評価なきまま再びコンクリート遊歩道工事

第二点は、今回の事業に関しては、日高市として、平成23年あたりから市内の河川調査を遊歩道設置計画に向けた活動として行ったということは、横手のコンクリート遊歩道の完成(平成24年2月)の前から、横手のコンクリート遊歩道を範として、市内に同様な遊歩道の設置を計画したこととみられることである。
多額な県の費用(実費、約1億円と聞く)を投入して、市としてはじめて行った「水辺再生」の事業が、「水辺再生」のために如何なる結果をもたらしているかについての適正な検証・評価もほとんど無いままに、今回の事業への計画に踏み込んでしまった市側の姿勢は、大いに批判されなければなるまい。もし、横手のコンクリート遊歩道に対する適正な検証や評価が実施されていたら、今回の事業に関する諸問題の噴出という事態は、ほぼ未然に防げたものと思われる。
横手のコンクリート遊歩道は、極端な増水時における防波堤の役割とか、高齢者の遊歩道歩行上の安全性の確保というような利点はあるものの、県の目指す「安らぎとにぎわいの創出」とか「清流の復活」とは、はるかに遠い現実があり、今回の事業に関して、上記の四団体が提起した諸問題のほとんどが、そのまま横手のコンクリート遊歩道の場合に当てはまる、と言える。
そして、そこに現れているのは、天然自然の破壊と川辺の人工護岸の設置とによる、県内最高の渓流美の喪失、河川の生物の生態系に及ぼす悪影響の増大、「清流」の概念に反する人工的河川の出現という現実である。
今回の川のまるごと再生事業の推進は、横手のコンクリート遊歩道によって現出したこれらの問題を、市内の他の河川に更に大きく拡散させるものとして決して容認すべきものではない。日高市は、横手のコンクリート遊歩道の設置という「前車の轍」を今回の事業で再び踏むという愚は何としても避けるべきである。

不可解な事業採択

第三点は、今回の事業の根本問題であり、かつ原点となるべきことである。
高麗川の再生とは何か」という視点に立った調査・協議の欠落のままに市が事業を計画し、県に申請し、県がこれを採択したことについては、申請主体の日高市はもとより、これを採択した県の対応も、まことに不可解である。
いずれにしても、現在進行中の「高麗川のまるごと再生プロジェクト」事業は、この事業が「高麗川の再生」に益する事業であるか否かの観点によって、早急に検証され、その結果に基づいて、事業そのものの今後を決める必要があると思われる。
「ふれあい清流文化都市」を市民憲章とし、市の総合計画基本構想で「水と緑の豊かな自然環境の保全」「貴重な歴史資源、景観の保全」を掲げる日高市にとって、横手渓谷にコンクリートの遊歩道を設置した上に、同様な遊歩道を市内の他の地域にも拡大するという今回の事業は、ここに掲げた市民憲章と基本構想とを市自らがこれを否定する結果を得ることになると思われる。

真の川の再生に向けて今こそ行動を

折しも、本年1月31日にNHK の「さわやか自然百景」の番組において高麗川が紹介され、高麗の清流と里山の美しい景観と、そこに生息する多彩な生き物の四季を通じての躍動が、「自然のまま」なるがゆえの実態として全国に放送された。
そこでは、何ら人為的、人工的なものの加えられるという予見は全く示されることなく、「自然のまま」の姿を今に保持する高麗川の価値が高く評価されていた。自然のままの高麗川の姿が、日高市の極めて貴重な自然財産であり、この宝を永く保全することが、その重大な責任であることを再認識させられた。
いったん壊した自然は、元にもどすことはできない。横手の遊歩道がその実例である。市内における自然破壊をこれ以上増やしてはならない。また、三億円もの県費の無駄づかいを傍観すべきではない。
言うまでもなく高麗川日高市民共有の貴重な自然財産であり、これに何らかの改変を加えることは、市民全体の問題であり、責任でもある。現在、すでに工事は着工となったが、今回の事業の推進を止め、速やかに工事を中止させ、今回の事業を全市民共通の問題とする認識の形成につとめながら、多くの市民の協議の上に立つ合意のもとに、高麗川の真の再生に即応した事業の実現に向かって、今こそ行動を起こすべきであると思う。
(平成28年2月3日)

第8回市部会議事録を情報公開請求し入手

 高麗川河川敷へのコンクリート遊歩道建設再開を決定した12月11日の第8回市部会(高麗川まるごと再生プロジェクト)での検討経過を確認するために、会メンバーが情報公開請求を出しました。1月8日に請求を提出、20日に議事録と資料および出席者名簿のコピーが郵送されてきました。
 請求の目的は2つ。私たちの要望がどのように扱われたのか、また、お蔵淵~高岡橋の一部修正の譲歩がどのような経緯でおこなわれたのか、の確認です。
 市部会は、重要な全市的テーマを決定しているのだが、「審議会等の会議の公開に関する基準」では、公開の対象にならない例が定められており、市部会は、これに相当するということらしい。「審議会等の会議の公開に関する基準」の該当箇所は次の通りです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
1 目的
この基準は、日高市審議会等の設置及び委員の選任等に関する指針(平成17年5月13日市長決裁)に基づき、附属機関及びこれに類する審議会等(以下「審議会等」という。)の会議の公開に関し必要な事項を定めることにより、その審議等の状況を明らかにし、もって市民の市政への参加を促進するとともに、公正で開かれた市政を一層推進することを目的とする。
2 定義
(1) この基準において「附属機関」とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、法律又は条例により設置される審議会、審査会等をいう。
(2) この基準において「これに類する審議会等」とは、その設置目的、構成等から、附属機関に類する機能を有して、規則、要綱等により設置される審議会、審査会等をいう。ただし、次に掲げるものについては、除外するものとする。
ア 市職員のみを構成員とするもの
イ 他の地方公共団体、関係機関、市民団体等との連絡調整を主たる活動内容として設置されるもの
――――――――――――――――――――――――――――――――――
 下線部が情報公開条例による開示請求の対象となる根拠だが、 市部会は「連絡調整を主たる活動内容として設置されるもの」ではなく、億単位の税金の使途に関わる決定機関である。
 内容の分析と、高麗川まるごと再生プロジェクトに関係する決定と公開については、改めて考えることにします。
入手した議事録、市部会設置要綱、参加者名簿を、下記にPDFで掲載します。

第8回日高市部会議事録.pdf 直
日高市部会設置要領.pdf 直

住民と共に創る民主主義や地方自治の問題を水に流してはならない

 県と日高市の共同事業である「高麗川まるごと再生プロジェクト」事業の検討の場である市部会(8回目)が、平成27年12月11日に開かれました。市部会とは、日高市がプロジェクト促進のためにつくった県と市及び地元レベルの計画検討組織で、概要やメンバーの資格は要綱で定められています。
 第8回開催の目的は、問題点を指摘してきたリンクス高麗川の要望に応じて出席を認め、話しを聞くということでした。市の従来の公式発言から、着工への意志は何ら変わることはないだろうと見込まれました。
 リンクス高麗川の要望に対しては、市は一部変更を認め、リンクス高麗川が指定した栗坪地区のお蔵淵〜高岡橋間については一部手直しが行われるようです。しかし、コンクリート遊歩道による全体計画は変更せず推進ということで再確認が行われました。「再確認」ということは、平成25年8月の第2回に提案され、第3回で既に市部会了承されているからです。
 同市部会には、我々、「高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会」のほか清流青空保育の会、埼玉県河川環境団体連絡協議会の要望も配布されました。
 12月3日の私たちの要望に対して、知事回答には「よく検討するよう担当の飯能県土整備事務所に指示をしています」とありました。
 この市部会で初めて、明確にコンクリート遊歩道建設を否定する私たちの会と青空保育の会の2団体の意見が市部会メンバーに伝えられました。これら団体によるコンクリート遊歩道の全面的反対意見が明らかになったことや市民の反発を恐れて、リンクス高麗川の栗坪地区に限定される修正意見を受け入れて譲歩の姿勢を示したものと言えます。
 日高市の、何が何でも、どんな理由を付けてでもやるという姿勢と、飯能県土整備事務所の決められたことはやる、という淡々とした姿勢に触れるにつけ、計画を基本から練り直す変更は受け入れないだろうということの予想はありました。
 そして、コンクリート遊歩道建設を既定として突き進む執行段階に影響を及ぼすのは、知事と市長の政治家としての見識と行政家としての良心ではないかと考え、私たちの要望の考え方の一つに据えてきたのです。
住民と共に創る民主主義や地方自治、県民と市民の生活と福祉を基本とする県と日高市まちづくりの基本方針、及び情報公開のあり方や税金を投入する妥当性――これらの基本的問題は、「高麗川まるごと再生プロジェクト」事業に、すべて含まれていることを指摘してきました。
 各区で指摘された問題点に対する一部修正受け入れ・譲歩は、全計画を推進するための口実、推進対策として行われています。
 私たちの指摘する問題は、各工事区で一部修正・譲歩で、水に流してはならない、目を背けてはならないと、私たちは考えます。

知事回答と日高市工事再開決定を踏まえ、また「さわやか自然百景」放映を前に知事へ再提案

埼玉県知事 上田清司
「知事からの御回答への再提案」
2016(平成28)年1月14日 
高麗川コンクリート遊歩道に反対し計画再考を求める会 代表 横山秀男 
 
時下ますますご清祥のことと存じます。
平成27年12月3日に、「川のまるごと再生プロジェクト」事業による高麗川河川敷へのコンクリート遊歩道建設に関し、メールと広聴・知事への提言担当者への直接手渡しにて要望書を提出致しました。
 それに対し御回答を10日にいただきました。ありがとうございます。知事はその中で、「12月11日にはこのワーキングチームで話合いが行われます。このたびのご提言についてもしっかりと検討し、その結果について横山様にお知らせするよう県土整備事務所に指示をしました」と述べられ、心強く感じた次第です。
 12月28日に、工事再開着工の旨、飯能県土整備事務所より電話にて連絡がありました。傍聴者によると、私たちの要望について実質的な検討は行われなかったようです。コンクリート遊歩道全工区建設の年度内完成を目指すという結論は極めて残念なこと、話しが通じない事に無念を覚えた次第です。
 要望書に全てを書きましたので、詳しくは繰り返しませんが、私たちは、強く何度でも主張致します。高麗川の自然を破壊するコンクリート遊歩道建設は民意を反映しない無益なことで、埼玉県民、日高市民の地域で生きる拠り所を破壊し、公共の利益に反することである、と。
 日高市長は、市民にも意見を聞いた、市民に支持されている、と言われていますが、全くそうではありません。情報公開もしない、説明もしないという中での日高市における川の再生事業推進やコンクリート遊歩道決定は、行政のとしての責任と役割を果たしたものではありません。
日高市長の一方的な強弁による工事着工は、主たる事業者、共同事業者としての埼玉県も支持していると解せば、県市共々、市民の納得が得られていない、目標も効果も不確かな公共事業の執行者という誹りは免れません。コンクリート遊歩道建設は、このまま推進されれば、河川行政、環境行政、まちづくり等、どの面から見ても、歴史に残る破壊となるのではないでしょうか。
日高市は最後まで市民説明会を行いませんでした。しかし、私たちをはじめとする市民グループの活動によって、私たちが要望に至った事情の理解が深まりつつあります。
折しも、NHKの看板番組である「さわやか自然百景」が、コンクリート遊歩道建設予定地の自然を特集、1月31日に全国に放映されることになりました。番組予告を見ると、「特徴は、清流と里山の美しい景観、両岸にクヌギなどの広葉樹林が連なり、秋の紅葉の季節は万華鏡のよう、多彩な生きものが躍動する川」とあります。正に、私たちが体験し感じる高麗川です。
知事、ぜひこの番組をご覧になって下さい。コンクリート遊歩道建設は、中止区間もあり完全に事業趣旨は破綻しています。しかし県土整備事務所と日高市は未着手工区も工事発注する意向です。
この番組をご覧になっても、なお知事は、日高市長、日高市県会議員と共に、日高市の最も貴重で市民に支持され愛されている財産を破壊してまで、コンクリート遊歩道を作ろうとするのか。事業を繰り越して、協働による川の再生を世界に全国に発信しませんか。私たちは、そうすることが、今後4年間の知事の仕事を象徴するものとして後世に残ると信じています。
私たちは、知事の、政治家としての行政家としての、全人間的存在を賭けた決断を下して頂きたいと、切に願っています。
以上
追伸:「高麗川まるごと再生プロジェクト」の内容と私たちの主張を、多くの人に理解してもらうために、ホームページを作成致しましたので、ご覧になってください。    http://komagawaseiryu.hatenablog.jp/